【CSMS第6回】なんとか In the Loop



アラスジャパンの久次です。

ものづくりにおける“サイバーセキュリティ”のブログシリーズ第6回として、 今回はデジタルツインのシミュレーションについて触れてみたいと思います。


制御システムにはMILS、SILS、HILSといわれるシミュレーション手法が用いられています。

  • MILS(Model In the Loop Shimulation) : 制御の振る舞いをモデルとして定義し、制御モデルの処理内容に関する妥当性検証を行う方法
  • SILS(Software In the Loop Simulation):モデルから生成されたプログラムコード(ソフトウエア)を使って制御ユニットの動作検証を行う方法
  • HILS(Hardware In the Loop Simulation):制御ユニットとして実際のハードウエアを使って制御対象の動作シミュレーションを行い検証する方法

これ以外にもPILS(Processor In the Loop Simulation)、CILS(Componet In the Loop Simulation)、VILS(Vircle In the Loop Simulation)など、シミュレーションする範囲や対象に応じた手法が確立されています。

サイバーセキュリティにおけるソフトウエアアップデートの際にも、様々な条件で制御システムの動作を事前にシミュレーションして検証しておくことは、製品の安全保障を実現するうえで欠かせません。

デジタルツインの”なんとか In the Loop”

デジタルツインを使ったシミュレーションも"なんとか In the Loop"という手法がとられるのでしょうか?デジタルツインとは現実世界のモノをデジタルで表現した双子で、デジタルの双子としてのデータはユーザの手元にある製品情報がベースになります。一方MILSやSILS、HILSは制御システムを対象としたシミュレーションです。タービンの故障に関わる予兆を検知し、予防保全を図り稼働率を向上させていく為に、デジタルツインの”なんとか In the Loop”を実現するには、制御システムのシミュレーションだけでなく、制御と連動して動くハードウエアやIoT製品の設置状態及び環境の変化なども併せて連成でシミュレーションされていくことが望まれます。

安全性が最重要テーマとなるクルマの自動運転では、時々刻々と変化する走行環境を再現し、複数のシミュレーションを連成して実施し、ドライバーが予見できない事象に関しても事前にシミュレーションして問題点を洗い出す取り組みが始まっています。
  
<出典:ANSYSホームページより>

一般的に解析業務は専門特化された業務であるため、解析データは個別に管理されていく傾向にあります。現実の世界に近い結果を得るには一つの物理現象に対するシミュレーションだけでなく、複数の物理事象や現象を連成で解析(マルチフィジックス)する必要が出てきます。ANSYSにおけるBMWの事例の様に、縦割りにサイロ化された解析データをデモクラタイズし、パラーメータやデータフローのプロセスと合わせて管理できるようにすることで、マルチフィジックス解析を実現してより現実の物理事象に近いシミュ―レーション結果を得る取り組みが始まっています。
*デモクラタイズ:サイロ化され個別管理さているデータを誰からもアクセスできるようにする取り組みを民主化になぞらえデモクラタイズと呼んでいます。

既知のリスクと未知のリスク

自動運転などデジタルツインを使ってシミュレーションする場合、センサーやソフトウエアなどの動作を確認する単機能のシミュレーション及びそれらを組み合わせたシステムレベルのシミュレーションと合わせ、利用環境を想定したシナリオが重要になってきます。
シナリオとしては、自動運転におけるSOTIF(SAFETY OF THE INTENDED FUNCTIONALITY)規格で要求されている意図した機能における安全性だけでなく、想定外の攻撃による被害のシナリオから影響度の評価を行い、安全が保障されるシナリオも含める事が望まれます。

デジタルツインを使ったシミュレーションを行いリスクを特定し影響を評価するには、モノづくりのV字プロセスを遡って原因の分析と対策を検討するといった進め方になります。
この時、シミュレーション結果からデジタルスレッドを使って関連する情報を特定できるようにしておくことで、サイバ―セキュリティにおけるリスク対策を効率的に実施することが可能となります。

次回の記事もぜひお読みください。



「ものづくりにおける“サイバーセキュリティ”」ブログシリーズ 目次
 第0回:ものづくりにおける「サイバーセキュリティ」とは? ~イントロダクション~
 第1回:IoT製品開発におけるサイバーセキュリティへの取り組み
 第2回:自動車におけるサイバーセキュリティ 
 第3回:サイバーセキュリティのマネジメント 
 第4回:サイバーセキュリティのマネジメント(その2)
 第5回:サイバーセキュリティにおけるデジタルツイン
 第6回:なんとか In the Loop
 第7回:着眼対局
 最終回:ものづくりにおけるサイバーセキュリティとは
 ※掲載順序、タイトル、回数などは今後変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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