こんにちは。アラスジャパンのマーケティングの宮岡です。
今日は、先日、CIMdata 社の社長兼 CEO ピーター・ビレロ氏(Peter Bilello氏)をお迎えして実施されたウェビナー「Keeping Current: A Critical Digital Thread Requirement」の内容をかいつまんでご紹介します。
ウェビナー(英語)はこちらからご覧いただけます。また、ページ内のリンクから YouTube 版にアクセスしていただくと、自動翻訳による字幕を(日本語に切り替えて)表示することも可能ですので、参考としてご利用ください。
ウェビナーの中で紹介されたデータやグラフの一部は、こちらの Analyst Report「Deferred PLM Modernization Delays Time to Value」に掲載されていますので、ご参照ください。なお、こちらの Analyst Report は現在日本語版のリリースを CIMdata 社に依頼しております。完成しましたら、改めてご紹介します。
ウェビナーの概要
CIMdata は、主な製造業企業において、PLM の実装とアップグレードの頻度に関する市場調査を実施し、その結果、PLM ソフトウェアの現在の状態と使用年数、展開の難しさ、アップグレード期間やコスト等に関して興味深いデータを得ることができた。ウェビナーを通して、ユーザー企業は PLM 実装に関する自社の状況や、進化するビジネスチャンスを活用するために必要な最善策、および製品サービスの競争力を高めるための洞察を検討する機会となることを期待している。
はじめに
「デジタルトランスフォーメーション(DX)」とは、Digitalization(デジタリゼーション)によって業務やビジネスを変革すること。CIMdata が多くの経営者や業界リーダーと話した結果、デジタリゼーションは流行りと思っている方が未だいたり、あるいは少なくとも「製造業のデジタリゼーションの基盤は PLM プラットフォーム」という PLM 関係者にとっての常識がほとんど浸透していないと実感している。PLM が古いままでは、変化の激しいテクノロジーを活用してどんどん進化しているビジネスチャンスを捉えることは困難であると CIMdata は確信している。
また、数年前に行った PLM テクノロジーの陳腐化に関する調査では、システムをどれほどカスタマイズしたかによって、その後にそのカスタマイズがコスト的・技術的な障害となってシステムを更新しづらくなったこと。あるいは、最初にどれほど更新しやすいシステムを選択したかが、新しいテクノロジーへの対応力に大きく関わったことがわかった。その結論として、8つの重要要素が導き出された。すなわち、適用性、メンテナンス性、アップグレード性、拡張性、安定性、信頼性、拡大性、互換性。
そこでこの調査では、継続的な DX の基盤としてのPLMについて、いかに陳腐化させずに最新テクノロジーに対応できるようになっているかを、現状のアップグレードの頻度や課題についてヒアリングして、継続的な DX を可能にするために検討していただくことを目的としている。
調査について
調査期間:2021 年の初め
回答者について
- 回答数:85 社(120 システム)
- 職務レベル:半数以上がマネージャーレベル
- 企業規模:売上 100 万 USD 以下から 50億 USD 以上まで、分散
- 業種:航空宇宙・防衛、産業機械・重工業、自動車・輸送機器、医療機器、電機、ハイテク電子、等、現実を反映して分散
- 地域分散:北米 62%、欧州 26%、アジア 12%
- 回答システム内訳: PTC 28%、Siemens 25%、Dassault 23%、Aras 14%、他 10%
調査結果
※ データおよびグラフはすべて CIMdata の調査結果より抜粋しており、著作権は CIMdata 社に帰属します。
直近のアップグレードのタイミング
- Aras ユーザー:6ヶ月以内は 47%、2年以内は 71%
- 他3社のユーザー:6ヶ月以内は 10%、2年以内は 32%
アップグレードの頻度
- Aras ユーザー:平均 1年半に一回
- 他3社のユーザー:平均 8年 〜 12年に一回
アップグレードにかかった期間
- Aras ユーザー:平均 3ヶ月
- 他3社のユーザー:平均 11 〜 14ヶ月(1年前後)
アップグレードにかかったコスト
- Aras ユーザー:平均 46K USD(約 500万円)
- 他3社のユーザー:平均 732K 〜 1,251K USD(約 8千万 〜 1.3億円)
アップグレードの容易さ
- Aras ユーザー:半数以上が「容易だった」と回答、「非常に困難」はゼロ
- 他3社のユーザー:多くが「非常に困難」または「困難だった」と回答
カスタマイズがアップグレードの障害になったか
- Aras ユーザー:87%が「いいえ」と回答
- 他3社のユーザーの平均:72%が「はい」と回答
まとめ
- CIMdata の長年の経験から、PLM テクノロジーを最新の状態に保つことは困難だが、投資収益率(ROI)を最大化するために必要である
- 将来にわたって予測不能な要件に対応するため、最新で適切に設計されたソリューションを維持することは重要。これは、柔軟性を考慮して設計され、最新の状態が維持されているプラットフォームであれば可能
- カスタマイズは、PLM ソリューションのアップグレードの障害になることがよくある
- Aras のユーザー(今回の調査で回答した顧客)は、他社の PLM ユーザーよりも大幅に速く、簡単に、低コストでアップグレードできると回答している
結論
ますます多様化する市場に対応するため、そしてそのための投資を効果的に回収するため、多くの企業や業界では DX への取り組み行われており、製造業においては、デジタリゼーションを実現する基盤として PLM は重要な要素と言えます。しかしながら、高度に深くカスタマイズされた PLM 環境はアップグレードが容易ではないため、最新のテクノロジーやビジネスモデルに対応することが困難なケースが少なくありません。
今回の調査で Aras ユーザーは、他社よりも頻繁に、より短期間で、より低コストで PLM プラットフォームをアップグレードしており、その際にカスタマイズは大きな問題にはならないと回答しています。つまり、Aras の PLM プラットフォームは、他社の PLM よりも最新の状態に保つことが容易であるということになります。DX に取り組んでいる製造業の企業は、このことの重要性をよく検討する必要があると思います。
CIMdata 社とは
CIMdata 社は、製品ライフサイクルマネージメントにフォーカスして、公平(unbiased)、包括的(comprehensive)、独立系(independent)を念頭に、コンサルティング、市場調査、および教育をビジネスの柱とするグローバルな調査会社です。CIMdata 社のミッションは、「PLM 並びにそれが可能にするデジタルトランフォーメションに特化した完全独立系グローバルなリーディング戦略マネージメントコンサルティング&リサーチ機関です。PLMの適用•利用を通して革新的な製品やサービスをデザインし提供するための顧客の能力を最大限に引き出すことに専念しています」とされています。
日本においては、メタリンク株式会社が米国 CIMdata 社の日本代表窓口として、日本企業のグローバル市場での競争優位を得るためのマネージメント戦略コンサルティングをすすめておられます。