ACE 2017 JAPAN 開催報告

※追加・更新※ 2017年10月2日(月)追記:記事最下部に、ご講演資料のダウンロードリンクを追記しました。


9月7日・8日に開催されました「Aras Community Event(ACE) 2017 JAPAN」では、多くの製造業のお客様、Aras認定パートナーの皆様に足を運んで頂きまして、誠にありがとうございました。おかげさまで、2日間のべ1,000人を超える来場者にお越し頂き、Aras過去最大規模の盛況となりました。

本開催報告では、ユーザー事例講演、様々なトピックスの分科会講演、Aras社員による講演内容などの、2日間のダイジェストを報告いたします。

※当日のリアルタイムレポートはアラスジャパンのTwitter公式アカウントまたはハッシュタグ#ACEconXをご覧ください。

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Day1:9月7日(木)

「ご挨拶Hisatsugu アラスジャパン 社長 兼 Aras Corporation Vice President 久次 昌彦

アラスジャパン社長の久次より、ウメオ大学 エリック・ストルターマン教授のかかげるデジタルトランスフォーメーションの3段階のフェーズを取り上げ、デジタルトランスフォーメーションの時代におかれるものづくりが、なぜPLM Platformを必要とするのか、Arasが17年間継続してきたビジネスがなぜものづくりの世界で受け入れられているのか述べました。

また、久次登壇直前のオープニングには、Aras創設の歴史が語られた動画をご覧いただきました。 ※Aras創立ヒストリー動画はこちらからもご覧いただけます

「キーノートスピーチ(同時通訳)」1M6A0282.JPG  Aras Corporation CEO & Founder Peter Schroer

航空宇宙、自動車、造船、鉄道などで安全性能要求が高まり、デジタルスレッド、デジタルツイントレーサビリティ、デジタルモデルが不可欠であるものの、それを実現するためのPLMはシンプルではなく成功者も少なく、企業内で理解を得ることが難しいのは事実です。しかし紙やExcelでの対応には限界があり、CEOであるPeter Schroerは成功に向けた”PLMジャーニー”が必要であると述べました。また、長い旅には共に進む仲間が必要で、それこそがArasコミュニティであるとも述べ、ACE参加の謝辞を伝えるとともに積極的なコミュニティ参加を呼びかけました。ACEの2日間で最も大切なことは人々と会話しそれぞれのジャーニーを共有することであると主張しました。

そして更にArasの大きなニュースとして、シルバーレイクがGEベンチャーズと共にArasに対し4,000万ドルの資金調達を行うことを発表しました。 ※本ニュースに関するプレスリリース全文は こちら

「Aras最新機能情報」1M6A0427.JPG アラスジャパン プロフェッショナルサービス ディレクター 宮内 一也

これまでのAras Innovatorの機能強化、カバー範囲拡大の歴史を追いながら、V11 SP9~SP13までのリリース(予定)機能や、タブモード、ディープリンキングなどの細かなUI改善などについてご紹介しました。また、SP14でのシステムズエンジニアリング関連機能の提供、SP15での外部サプライヤとの連携ソリューション、新たな3Dビューワなど、ユーザと協働して開発しているソリューションについても解説しました。更に、いよいよ2018年秋のメジャーリリース、V12で搭載予定の機能にも触れ、Arasの継続的な新規ソリューションの開発・改善についてご紹介しました。

「なぜPLMか なぜARASなのか」1M6A0495 ローランドディー.ジー.株式会社 R&D本部 開発支援室 開発管理ユニット マネージャ 原 浩二 氏

前職でのPLM導入のご経験を活かし、なぜローランドディー.ジー.社でもPLM導入に至ったのか、なぜArasを採択したのか、についてご講演いただきました。プロジェクトを進める上でどの企業も直面し悩む様々な壁(おカネの問題、社内を動かす難しさ、どこまで細かく作り込むか…等)について赤裸々に語っていただきました。 講演資料はこちら

「医療機器メーカーにおける、規制要件に対応した技術情報の電子化と公開システムの構築」1M6A1103  シスメックス株式会社 技術戦略本部 技術情報部 開発情報課長 生駒 晴哉 氏

医療機器メーカーが避けて通ることのできないFDA。シスメックス社においてどのように法規制を理解し、要件をブレイクダウンし、適合するように取り組まれたのか、具体的に行ったアクションを一つ一つご紹介いただきました。また、既に他のPLMパッケージが稼働している中で、FDA対応をにらみ、なぜAras Innovatorを導入する必要があったのか、複数の理由・背景についてお話しいただきました。

Aras Community Reception (懇親会)

今年の懇親会は展示会場の中で行いました。Arasユーザ、検討中のお客様、Aras認定パートナー、アラスジャパン、米国Aras、欧州Arasのメンバーが一堂に会し、話の尽きない2時間となりました。

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Day2:9月8日(金)

「Arasのビジョンと製品ロードマップ(同時通訳)」1M6A1548  Aras Corporation Chief Architect Rob McAveney

Rob McAveneyは、創業当初よりArasがフォーカスしている”製品ライフサイクルすべてを網羅する機能群”の一つとして、システムズエンジニアリングに見られるような要求管理などのアップフロントの機能も強化する予定であることを述べました。また、この機能は既にAras Community内で複数の企業が利用しており、Arasはコミュニティメンバーからのフィードバックを吸収した素晴らしい機能をリリースすることができるとも説明しました。その他、新機能バリアント・コンフィギュレーター・サービスのリリース、外部システムとミドルウェアを介さず連携するフェデレーション・サービスの強化、ストレージ関連技術の強化(グラフデータベース、NoSQLなど)、そして、昨今の複雑な製品にとって極めて重要な構成管理機能の強化(ブランチ&マージなど)にも言及しました。最後に、Arasが17年間開発し続けているAras InnovatorはACEに参加している方々を含め、世界中のコミュニティメンバーの協力によって成り立っていることについて謝辞を述べ、今後の協力も呼びかけました。

※Arasの最新ロードマップは こちら

「Bosch is connecting the future」1M6A1691 ボッシュ株式会社 オートモーティブエレクトロニクス 事業部 事業開発室 室長 佐藤 正行 氏

ご講演の前半では、市街での自動駐車場探し、および自動運転による駐車など、私たちの身の回りに存在するボッシュ社の最先端デバイスとその接続性や、IoTを実現する小型かつ省エネのデバイスなどについてご紹介いただきました。そして、ご講演の広範では、温度・湿度だけでなく音声、方角、気圧など様々な項目を計測できるボッシュ社のセンサーデバイス「XDK」とAras Innovatorとの連携ソリューションをデモンストレーションした動画もご紹介いただきました。 講演資料はこちら

「MBSE needs interdisciplinary engineering processes and bimodal IT-Infrastructure」 (MBSEに求められる、多分野にわたるエンジニアリングプロセスとバイモーダルITインフラ)(同時通訳)1M6A1907 カイザースラウテルン工科大学 プロフェッサー Martin Eigner 氏

MBSEについてよく学んだ人で、MBSEの導入にネガティブな人はおらず、あまりMBSEについて情報を持たない人でもMBSEについてポジティブな人が多い、といったリサーチ結果を引用しながら、ものづくりの現場のおかれている状況や、MBSE導入のメリットなどについてお話しいただきました。また、MBSEも含め、製品ライフサイクルのはじまりからおわりまでをカバーするシステムライフサイクルマネジメントには、ガートナーの掲げるバイモーダルITインフラが欠かせないとし、その素養を持つソリューションこそがAras Innovatorであると述べられました。 講演資料はこちら

Solution Showcase

今年のSolution Showcaseは、ユーザ向けに開発された既存ソリューションに限ることで、よりリアルな事例を実感していただけるようにしました。
  • IBM Rhapsody Integration Proof-of-Concept (Aras Corporation Patrick Willemsen)
  • Aras-Redmine連携によるソフトウェア開発管理の効率化事例 (川崎重工業株式会社 ロボットビジネスセンター 礒田 岳 氏, 株式会社ADS 田中 研造 氏)
  • HoloShowTm for Aras Innovatorbased MR (Mixed Reality) applications (Zinnotech Inc. Francis Pahng氏)
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「Aras Innovatorを用いた航空機CADデータ管理システムの構築」1M6A2556 川崎重工業株式会社 航空宇宙カンパニー 企画本部 情報システム部 ITシステム開発課 主事 社河内 美名 氏

製品寿命の長さ、複数の企業による共同開発、数百万点にのぼる部品点数など、様々な特長を持つ航空機開発。それらに合うシステムの構築を目指し、Aras Innovatorと大手PLMをどのように比較検討したのか、なぜAras Innovatorを採択したのか、導入時はどのような課題が生じ、どのように解決したのか、そして今後は何を目指し進んでいくのか、実際のプロジェクトの詳細に踏み込んでお話いただきました。 講演資料はこちら

Aras Unconferenced

昨年より日本でもスタートしたAras Unconferenced。Aras経営陣を囲んでのフリーディスカッションを行いました。様々なご意見・ご要望・ご質問が途切れることなくPeter、久次、Robに向けて投げかけられ、それぞれのお客様の声に対して経営陣は真剣に回答し、またいくつかのご質問・ご意見に対して共通することとして「コミュニティへの積極的な参加」を再度呼びかけました。

欧米と比べて日本の状況はどうか、といういくつかのご質問に対し、「日本のものづくりの現場は世界に比べて決して遅れていることはなく、日本企業が抱えるExcelや紙運用といった課題は、欧米諸国でも同様にトピックスとして上がってきている」とArasより回答しました。MBSEも号機管理もシミュレーションデータ管理も、世界各国で関心の高い話題であり、だからこそ相互に学び合い、意見し、ユースケースを提供し合うことが重要だとも述べました。また、そういった最新トピックスについては誰も正解を持っておらず、これまで多くのソフトウェアベンダーが想像でツールを開発し、間違っていることが多かったため、Arasは皆さんと一緒にPLMを作っていきたい、だからこそこのコミュニティが重要である、とも述べました。

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Day1 & Day2共通コンテンツ

分科会

Day1、Day2両日の分科会では、3トラック(Arasトラック、パートナートラック、MBSEトラック)に分かれ全22セッションが実施されました。Arasによる最新ソリューション・人気ソリューションのデモンストレーション、パートナーによる、AIやIoT等最新トピックスとAras Innovatorの連携ソリューション紹介、MBSEのアカデミックな講義、欧州OEMにおけるMBSEの実態など、様々な講演が行われました。

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【PICK UP! MBSEトラック】

Day1では、昨年に引き続き、ACE JAPANでご講演いただくことになった慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 特任助教 石橋 金徳 氏。「“Model-Basedシステムズエンジニアリング(MBSE)”でこんなことになってしまっていませんか? -実は多くの人が間違えてしまっているMBSEにおけるシステムモデルの考え方と作り方-」と題し、昨年のMBSE基礎講座から一歩進んだ、MBSE着手後の企業が抱える悩みに応える内容となりました。参加者は予め昨年の講演動画で事前学習をしていただくことで、参加者の知識レベルの底上げを図り、講演中にMBSEの基礎だけでなく、あらたな情報の提供に時間をかけていただくことができました。盛りだくさんの75分の講演後、早速複数の方が石橋先生に質問をされる姿が印象的でした。

また、Day2ではAras CorporationよりProfessional ServicesのディレクターであるPatrick Willemsenが来日し、「NoMagic × Aras Innovator最新連携ソリューションデモンストレーション」および「欧州OEMにおけるMBSE導入事例+Round Table」の講演を行いました。欧州のOEMではMBSEをどのように進めているのか、幾つかの企業の事例を紹介しました。また、講演後は参加者とPatrick、アラスジャパン社長久次、さらに石橋先生を交えてのディスカッションを行いました。

ものづくりの世界でも注目されはじめ、必要とされているMBSE。ACE JAPANでは、今後も継続的に皆様のMBSE学習、実施に役立つコンテンツを提供してまいります。

すべての分科会コンテンツのタイトル・講演者はこちらでご確認ください。 ACE 2017 Japan Agenda [PDF]  

展示

協賛パートナーによる様々な連携ソリューションが2日間に亘り紹介されました。

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  • VR・MR(HoloLens)-PLM連携(Zinnotech)
  • ALM-PLM-IoT連携(日本アイ・ビー・エム)
  • AIによる類似形状検索(デジタルプロセス)
  • FDA対応ソリューション(日立システムズ)
  • モデルベース開発における成果物管理や作業管理など(MCOR)
  • エンジニアリング向け最新デバイス(日本マイクロソフト)
  • 設計・開発・製造のプロジェクト管理及びコラボレーションソリューション(ザイオネックス)
  • 開発者向けツール(クリエイティブジャパン)
  • 個別受注/見込生産型企業向けArasテンプレート(コベルコシステム)
  • BOMエディタ/ビューワ(ネオシステム)
  • 電子機器設計の最適化(図研)
  • 部品概形(スケッチ等)による類似形状検索(豊橋技術科学大学)
  • CADコネクター(ADS)
  • 製造原価シミュレーションシステムとPLMの連携(SCSK)

2日間を通して

例年より開催時間を広げ、盛りだくさんなコンテンツでお送りしたACE 2017 JAPAN。 皆様のご来場の目的が少しでも達成されたことを願ってやみません。Arasは一般的なソフトウェアベンダーとは異なり、Aras、お客様、認定パートナーの三者からなるコミュニティを形成し、お客様のニーズにあった製品の開発に尽力しています。皆様との会話、情報交換が重要なエッセンスとなってきます。ご来場いただきました皆様、展示・ご講演でご協力いただきました認定パートナー各社様、そして貴重な事例をご提供いただきましたユーザ各社様に、改めて心より御礼申し上げます。

ACE 2018 JAPANのご来場もお待ちしております。

Special Thanks

日本アイ・ビー・エム株式会社株式会社 図研デジタルプロセス株式会社SCSK株式会社コベルコシステム株式会社ザイオネックス株式会社株式会社ネオシステム株式会社ADS日本マイクロソフト株式会社株式会社日立システムズ株式会社MCOR株式会社クリエイティブジャパンZinnotech Inc.伊藤忠テクノソリューションズ株式会社ケイレックス・テクノロジー株式会社カコムス株式会社株式会社プルーブ応用技術株式会社

ACE 2017 JAPANご講演資料のダウンロードリンクは こちら

それでは、皆様また来年のACE 2018 JAPANでお会いしましょう!

Aras PLMの詳細・ダウンロードはこちらから Aras_Logo_2013