製品開発支援システムの仕組み:「みつける」 - 関連性をたどって見つける

必要なデータを見つける方法は検索だけではありません。

データがあることを知らせれば良いわけでその実現方法として、PLMシステムではデータとデータを関連付けて管理する手法を用いています。

関連性をつけて情報を管理することを"リレーションを持たせる"と表現しますが、このリレーションを持たせるメリットとして、作業者が知らない(気づかない)情報を見つけることが出来るという点と、共同で作業している人が別々の作業をしながらも成果物を共有できる点です。

作業者が検索してもデータが見つからなければ、そのデータは存在しないものとして認識されてしまいます。

「データの見つけ方を徹底して教育したり、データを投入したことをお互い知らせ合えば良いではないか?」という意見もありますが、ほとんどの人は自分が今行っている作業以外のことには注意を払いません。

いくら通知されていても、今関係無い情報は保留され、いざ必要とするときには忘れてしまって思い出せないといったことも良くある話です。

リレーションを持たせてデータを関連付けて管理することのメリットは、リレーションされているデータは常に論理的に関連付けられているため、必要となったときにそのデータを確実に見つけることが出来るという点です。

もうひとつのリレーション管理のメリットとして、コラボレーション作業している別の部署のデータが適切なタイミングで自分が作業しているデータと関連づけられて管理されるので、作業者は他部門の作業進捗を気にすることなく作業を進め、自分が必要としたときにワンクリックで他部門の進捗状況や成果物を簡単に見つけることが出来る点です。

この仕組みの前提には、各作業者が同じ目的の作業チームとして編成されていて、各社業者がきめられたルールに沿ってデータを登録していくことで自分の作業に関連するデータが自動的にリレーションされてい行くという業務プロセス設計の整備が必要となります。

具体的に説明してみたいと思います。

まず最初に、設計者が品目情報の登録を行うために、パーツマスタの画面から品目に関する情報の登録を始めます。

設計者はこの後、品目の構成を検討し部品表として関連付けたり、この品目にかかわるCADデータや図面及びワープロ・表計算ソフトで作成した設計図書として登録していきます。

方や調達部門では設計部が新たに登録された品目の情報が通知され、当該品目に関する調達先の検討や価格検討に入ります。

調達部門は仕入先メーカーやベンダーの情報が管理されているので、対象品目がどの会社で対応するのかを調査します。

このとき調達部門の担当者は設計部門が品目に関連付けた図面情報や設計図書の情報を活用します。

品目とドキュメントはリレーションを持っているため、調達担当者は品目のコードさえわかっていれば簡単に図面を探し出すことが出来、図番やバージョンなどを気にすることなく常に最新の情報にアクセスできます。

この後、調達部門ではベンダーを認定し品目情報に情報を関連付けることで、設計担当者に推奨する仕入先と価格情報を提供します。

仕入先の情報はパーツマスタにリレーションされているため、設計担当者はいつでも仕入先情報のタブをクリックすることで自分の欲しい情報を入手することが出来ます。

またデータを、リレーションを持たせて管理するということは、データを階層構造で持つことが可能になります。

階層構造を持つデータはリレーションを展開していくことでより詳細のデータにたどり着くことが出来ます。

また上位データから下位データにデータをドリルダウンして見つけていくだけでなく、逆展開させることで、当該データが関連する上位データを簡単に見つけることが出来ます。

データの関連性がわかることで設計しているデータの影響範囲を簡単に把握することが可能となります。

このような他の作業者のアウトプットを簡単に見つけたり、関連性をたどって情報を見つけることは検索するためのキーワードを特定することが難しいため、検索技術にはないリレーションを持たせたデータ管理のメリットです。

-久次 昌彦-

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