製品開発支援システムの仕組み:「つなげる」 - 関連データをつなげる

製品開発業務は、専門分野に分かれた複数のチームが一つの製品を具体化していく作業です。
これらのチームの間を効率的につなげて情報を伝達していかなければなりません。
それを実現するためには次のポイントを意識して、システム化の計画を立案していくとよいでしょう。
1.関連データをつなげる
会社の中でチームを組んで作業しても、組織化して行動しても製品開発作業の成果物は結局のところ各担当者からしか出てきません。
個人から出てくるアウトプットは、そのまま蓄積してしまうと単なる一つの情報でしかありません。
製品開発作業におけるアウトプットは、複数の異なるチームが一つの製品を様々な切り口で検討し具体化するプロセスの中で作成される成果物で、このアウトプットは必ず他の作業者のインプットと関連性があります。
このようにそれぞれのアウトプットを、シナリオを持った意味のあるリレーションで関連付けデータをつなげて管理することが、製品開発業務を管理するPLMシステムが提供する仕掛けの基本になります。
製品開発にかかわる関連するデータをつなげることで、自分の知りたい情報や他のチームの進捗状況などを簡単に知ることが出来るようになります。
また、関連するデータを"集める"のではなく、"つなげる"ことによってデータを自分の欲しい視点から、他のチームの成果物としてアウトプットされた関連するデータを見つけることが出来るようになります。
製品開発情報は単独で蓄積しても意味がありません。
たとえば、「関連するデータを“つなげる”」の一つのシナリオは下記の通りです。
設計担当者が作成した図面は、購買担当者が調達先との価格交渉に使ったり、生産技術部門では効率的なモノづくりの検討に使われます。
この図面が設計部門だけで管理されていては、他部門の人はいちいち情報を取りに行かなければなりません。
従来のシステムでは他部門の人にも権限を与え、蓄積されている図面データから必要な情報を取り出す仕掛けを構築してきました。
この時、図面を捜すキーワードは図番になります。
確かにデータベースの検索キーに図番を入力すれば、該当する図面を検索することはできます。
しかし気をつけなければいけないのは、検索してきた図面が自分が欲しいバージョンのものかどうです。
古い図面の情報を見ても意味がないですし、かといって設計者がまだ検討中の最新の図面を見て作業を進めても内容が何時変更されるかわかりません。
情報を取り出すときには自分の作業に必要なバージョンや世代のデータを確実に取り出せるようにしておくことが必要です。
また、図番を必ずしも他部門の人が正確に把握しているとは限りません。
図面を作成している設計者はもちろん正しい図番を把握し作業を進めていますが、購買部門ではプロジェクト名や製品のユニット単位で作業行っていたり、生産技術部門では素材や工程などを図番に付与した形で作業を進めている場合があります。
異なる図番で製品開発作業を進めていることはまずないとおもいますが、役割が異なる部門では往々にして自分たちの作業しやすい体系で情報を管理しています。
よって部門で日頃使っている番号をキーにしても必ずしも他部門の情報を正確に引っ張ってくることが出来ない場合があります。
関連するデータとデータをリレーションしてつなげるということは、このようなキー情報が無くても、物理的につながれた状態でデータが管理されているため、自分の知っているキーワードを中心にデータを手繰り寄せることで必要とする関連情報を見つけることが可能になります。
また、キーワードで検索する場合は、データはピンポイントでしか見つけることができませんが、関連するデータをつなげることにより、自分が知らなかった関連するデータもリレーションを経由して見つけることが出来るようになります。

-久次 昌彦-

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